あさひ輪業は2010年9月に創業十周年を迎えることが出来ました。これまで弊社を支えてくださった皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

さて、書籍、雑誌の記事や、イベントなどで私のことをご存知のお客様も多いかと思いますが、節目を迎えた今、改めて自己紹介させていただきます。

私はあさひ輪業を創業する前は海上自衛官でした。所属は横須賀を母港とする『第一輸送隊』という部隊で、輸送艦『さつま』という艦に乗り組み、機関科員として、主機(メインエンジン)、発電機、冷凍機、ボイラーなど、装備機械全般の保守、整備を担当していました。



この『さつま』という自衛艦、海上自衛隊では、便宜上『輸送艦』という呼び方をする艦種ですが、実際には、大砲や対空砲を搭載した『強襲揚陸艦』ですから、当然のことながら、水上戦闘や対空戦闘などの戦闘訓練にも日常的に携わります。

戦闘艦ゆえ民間の艦船とは違い、洋上で艦が破損したり故障したりしても、乗員の手で必ず修復しなければなりません。部品がなければ代用品を加工したり、製作したりすることもありました。その場合でも、正確で迅速な作業を要求されます。さらに時間的、物質的な制約がある場合でも、可能な限りの応急修理を実施します。

また、これは極論で、実際には起こってはならないことですが、『総員離艦』(艦を放棄して海に飛び込め)の命令が下る時は、艦が激しい戦闘の末に、沈む直前と判断された時だけです。その時までは修理をし続けなければならないのが我々機関科員の使命です。即ち、自分の生命が著しく危険にさらされる状況に陥るまで持ち場を離れることは許されません。

海上自衛隊では『部品が無くても創意工夫する』『厳しい状況でも最後まで諦めない』と言う具合に、技術的にも精神的にもとても良い勉強をさせてもらいました。



話が前後しますが、私は自衛隊入隊以前に、レストア職人の師匠に師事しました。

その後、HONDA販売店に勤務したこともあります。しかし、販売店での通常修理は、部品を交換するだけで、部品そのものを修理することはあまりありませんでした。『部品が無い旧い車輌は修理できない』と言う理由で廃棄されることもありました。

そこで、元来、旧型の車種が好きだった私は『いつか独立開業して、旧い車の主治医のようなショップを作りたい』と思い立ち、海上自衛隊に武者修行に出たわけです。こうして私は、退役後の2000年9月に、念願だった二輪ショップを開業しました。

これからも今までの経験を生かして、皆様のお役に立てるショップを目指して精進して行く所存ですので、何卒宜しくお願いいたします。